2011年4月13日水曜日

ロブ・ベル「ラブ・ウインズ」

東日本大震災後、数えてみたら10本くらいこのことについてポストしてきたようだ。

ちょっと一回区切りをつけて全然違う話題について。

アメリカの若手牧師でロブ・ベルという名前を聞いたことがあるだろうか。
筆者も別に詳しいわけではないが、福音派の中でも保守的な神学について行けなくなった世代的に若いキリスト者を大雑把に括るレッテルに《イマージェント》と言う運動がある。

イマージェントを代表するような牧師として例えばブライアン・マクラーレンがいる。
まっ余り日本では紹介されていないのでそれほど詳しく述べても意味がなかろうと思うので、この場ではイマージェントと言うレッテルで自分たちを紹介し、又他のグループから同じレッテルを貼られる、そのような棲み分けが現在アメリカの広義福音主義キリスト教の中にある、とだけ言っておこう。

さて、そのイマージェントの一人と目されるロブ・ベル・牧師が「ラブ・ウインズ(Rob Bell, Love Wins: A Book about Heaven, Hell and the Fate of Every Person Who Ever Lived.)」と言う本を著した。

実はこの本が出版される前から大論争を巻き起こし、それだけで売り上げを格段に伸ばしたかもしれない。
筆者は手に取って読んでいないので外野からの眺めだが、主に論争の焦点となっているのは、ベル牧師の「地獄観」がユニバーサリズム(普遍救済説)になるのではないか、とのことである。

保守的な立場からこの本の内容について執拗に追求しているブログとしてはデニー・バーク氏がいる。(彼のブログの2/26記事くらいから現在に至るまで何回も取り上げている。)

大体神学的に一致団結しているバプテスト神学校校長のアルバート・モラーや、このような神学論争では近い立場のジョン・パイパー牧師(彼はイマージェントの牧師たちに否定的な見方を持っている)やジャスティン・テイラーなとが盛んにベル牧師とその著書を槍玉に挙げているようだ。

もう少し穏健で、イマージェントに一定の理解を持つジーザス・クリードのスコット・マクナイト教授はブログ上でこの本について連載記事を書いている。(現在進行中。4/13は第六回目のポスト)

3月14日の「クリスチャニティー・トゥデー・コム」にもマーク・ガリがRob Bell's Bridge Too Far: The controversial pastor raises crucial questions, but offers answers that may sabotage his goals.
と言う趣旨の記事を書いている。

大震災関係の記事を書くためこれらのポストには殆んど目を通していないので非常に雑駁な感想しか書けないが、筆者としてはベル牧師がイエスの宣教メッセージあるいは宣教スタイルを本質的に性格付けるのは「愛」であり、「地獄の火」で心理的に恐怖に陥れるような福音提示はイエスの福音に相応しくない、と主張しているのだと思う。
次にここが反論者の気になるところなのだが、そのような地獄を中心に置く様な福音伝達は結局人々は耳を貸さない、宣教的に非生産的だ、と言う二次的な主張も含んでいるようなのである。
この辺を「文化に迎合的で、正統的神学を妥協する」様に見られる面ではないかと思う。

ベル牧師がユニバーサリズムの立場に結果的に立つのかどうか、と言う微妙な神学的問題については筆者にはコメントしようがないが、彼が、そして「ラブ・ウインズ」が、福音主義保守派とイマージェント世代のキリスト者の溝を深める可能性はかなりあるように思う。

0 件のコメント:

コメントを投稿