2015年11月8日日曜日

(4)英国の今時キリスト教事情

英国での「キリスト教」に関する調査(対象数4000余)の結果が先ごろ報告され、一般メディアでも報道されました。(解説は後ほど)

ところで、その中の一つの質問(の結果)についてみなさんに予想していただきたいのですが、
    英国において、「イエスを実在の人物とは思っていない」人は全体の何パーセントだと思いますか。
     ※要するに「架空」とか「伝説上に過ぎない」とかそんなところ。
        1. 10%
        2. 20%
        3. 30%
        4. 40%

結果をお知らせする前に、少し背景をお話しましょう。

元ダラム大聖堂主教、現セント・アンドリュース大学教授で世界的な新約聖書学者であるN.T.ライトの一般的啓蒙書『クリスチャンであるとは』(2006年、邦訳は2015年)は、英国も含む(かつては)キリスト教文明圏であった西欧諸国が脱・キリスト教化している事実を念頭に書かれています。

英国(そして西欧諸国はもっと進んでいる)の現状を
 ①「ポストモダン」、
 ②「ポストキリスト教」、
 ③「ポスト世俗主義」
というキーワードで捉え、現代西洋人のキリスト教との距離(隔たり)をどのように埋めるか、と言うことを『クリスチャンであるとは』の課題としています。

衰退する英国国教会だけでなく、他のキリスト教諸派(特にペンテコスト派を除く福音派)も英国の脱・キリスト教化の深刻さを問題としているのですが、その深刻度を知りたいということで、
 (1)イエスについての認識(perceptions)
 (2)キリスト者に対する認識
 (3)キリスト者による伝道に対する認識
についてのオンライン世論調査をバーナ・グループ等に依頼して実施しました。


そしてこれがその結果です。



この中にも出てくるように

10人中4人が、「イエスを実在の人物とは思っていない」という結果でした。

一体これが何を意味するかはさておいて、一般メディアにとってもこの結果は少しショックだったようです。

BBCニュースは、Jesus 'not a real person' many believe、と見出しを付けています。

この結果に関する、少し詳細な分析がこちらのブックレットに掲載されています。

やはり年齢が下がるほどイエスの史実性への認識は低くなる傾向にありますが、35歳以下でもアフリカ系やアジア系英国人は、逆に79%が「イエスは実在の人物」という認識を持っている結果が出ています。

と、筆者が報告できるのはここまでですが、今後この調査結果全体への時間をかけた分析が行われるでしょうから、その報告を待ちたいと思います。


筆者の「やぶにらみ」として一言添えれば、やはり「イエスを実在の人物とは思っていない」と思っている人が4割を占めるという結果は、「どのような伝道アプローチを取ればいいのか」ということに自ずと方向性を与えるように思います。

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