2015年11月3日火曜日

(5)追悼: シェルドン・S・ウォリン (1922-2015)

※表記を「ウォーリン」としていたのを「ウォリン」と直しました。(2016年1月29日)

まだネットでは(日本語での)追悼記事も多少詳しい訃報も見当たらないので・・・。

まあ追悼と言っても一種のミーハー的レベルでのことですが・・・。

名誉教授として引退したプリンストン大学に訃報・追悼記事がありますので、一部要約して紹介しておきます。

Political theorist Sheldon Wolin dies at 93
 

民主主義が権力と国家にどう絡むかについて思索した政治理論家シェルドン・ウォリンがオレゴン州セーラムで亡くなった。享年93歳。
 
プリンストン大学で政治学の名誉教授だったウォリンは、1960年に出された『政治とヴィジョン』 で政治理論研究の大切さを再認識させ、その後の著作でより広範な人々に政治理論への関心を広げた。1972年からプリンストン大学となり、1987年から名誉教授となった。

(ウォリンのもとで薫陶を受けたコーネル・ウェストのことば)
"Sheldon Wolin was the greatest political theorist of democracy of our time. His scholarship was impeccable, and his golden heart was undeniable. I was blessed to have him as my thesis adviser, my mentor, my colleague and my democratic comrade in arms."

1922年シカゴに生まれたウォリンはオバーリン大学で学士を、ハーヴァード大学で博士号を受けた。プリンストン大学以外でも、オバーリン大、カリフォルニア大バークレー校、同サンタクルツ校、同ロスアンゼルス校、コーネル大、及びオックスフォード大でも教える。

ウォリンの研究関心の対象は主に合衆国の民主主義、特に国家の政治機構や制度とは区別したもの。

(中略)

1985年に『政治とヴィジョン』で「ベンジャミン・E・リピンコットアメリカ政治学会協会賞」受賞。


政治とヴィジョン』は、デイナ・ヴィラ、ノートルダム大政治学教授によれば、第二次大戦後の「イデオロギーの終焉」が学界の基準になり、政治理論がほぼ死滅したと広く思われていたときに出版された。
ウォリンはこの本で当時の常識を打ち破り、西洋政治思想正典と看做されるものの幅を再解釈して広げ、歴史に対し鋭い関心を有したアイゼア・バーリンやハンナ・アーレントなどと並び称せられるようになった。

(以下略)


ところで、この記事のために少し検索していたら、既に「英語圏神学者」で最初に紹介したスタンレー・ハウアーワス
 『大学のあり方──諸学の知と神の知』アマゾン日本)の第10章で
 「民主主義の時代──ヨーダーとウォリンから学んだ教え」


となっているそうである。(紹介はこちら

なるほど細かい年代までは調べていないが、ハウアーワスがプリンストン時代ラムゼー教授のもとで勉学していたときにウォリン教授からも学んでいたのかもしれない。(一つの発見。得した。)


※ウォリンについては「米国留学時代」の思い出として個人的な観察・印象をこことそして加藤周一と合わせてここにも少し書いておきました。参考まで。

[追記]
※その後(たまたま今日、2016年1月29日)、朝日新聞にICUの千葉眞氏の追悼記事が掲載されているのを発見した。

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