2015年12月14日月曜日

(5)ドナルド・トランプと福音派キリスト教(続2)

ドナルド・トランプの名前はまだまだ日本では知られていないのではないかと思う。
と書いてこのトランプ連載を始めた。

確かに8月の時点ではそれほど日本のメディアには露出していなかったように記憶している。

しかし
どうやらトランプ氏の選挙戦は予想より長続きしそうなので、このシリーズはまだ続けられるかもしれません。

連載2回目を書いたときには、共和党候補者の先頭を走りながら、当初短命と思われたトランプ候補の支持率が以前下がらない予感がして、連載を続けると締めくくった。

それから三ヶ月。トランプ候補がここまでしぶとく先頭を維持することは余り考えていなかった。

大分連載をサボっていたが、お約束通り連載3回目を書くことにする。


《アトランティック》誌のルース・グラハムの記事(2015年10月28日)では、福音派といっても、信徒たちと牧師など教会指導者たちとではトランプ候補に対する評価に開きがあることを指摘する。

例としてベイラー大歴史学教授のトマス・キッドや、南部バプテスト連盟指導者のラッセル・ムーアらトランプ候補に否定的評価を下す福音派指導者の名を挙げている。


今度は《宗教と政治》誌のエミリー・ジョンソン(テネシー大宗教史教授)の記事(2015年12月8日)では、ノックスビルのコンベンションホールでの集会の様子をレポートしている。

エミリーの印象では、保守派/福音派キリスト者のトランプ候補支持が依然高止まりしている理由は、トランプの信仰とか宗教的背景ではなく(むしろ乖離している)、保守派/福音派キリスト者の抱く「アメリカとキリスト教の同一性」が危機に瀕しており、その問題に一番アッピールする候補がたまたまトランプであること、そして何よりもトランプ自身が、今まで非政治的でさえあった今回の支持者たちのように「政治の素人」である点がアッピールしているのではないかと指摘する。
Like Nixon, Trump uses vague references to moral decline and American patriotism to cast a wide net, to appeal to a broad swath of conservatives who feel alienated from the machinations of Washington bureaucrats, but who can hear their grievances reflected in Trump’s “Make America Great Again” sloganeering.
最後に《ワシントン・ポスト》誌のサラ・ベイリー記者の記事(2015年12月10日)では、福音派指導者たちがトランプ氏以外の有力候補を擁立する動きを紹介している。

ジェームズ・ドブソン氏とのインタヴューによると、最初に予備選が行われるアイオワ州での世論調査ではテッド・クルーズ上院議員が支持を集めているが、福音派も彼に絞ってきている様子だとのこと。
(CNNの日本語翻訳記事でも紹介されている。)



といったところです。

(※さてお約束は出来ませんが、これで連載終了とはまだならないのではないかと思います。)

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