2016年6月25日土曜日

(5)ドナルド・トランプと福音派キリスト教(続3)

およそ半年振りの「更新」というか「続報」です。

民主党クリントン、共和党トランプ、両候補者の指名獲得がほぼ確実になったわけですが、この段階で「トランプ候補」と「福音派キリスト教」の改めての「折り合いを付ける」大きな会合が先日ニュー・ヨークでありました。


トランプと福音派キリスト教、続2で紹介したことですが、

エミリーの印象では、保守派/福音派キリスト者のトランプ候補支持が依然高止まりしている理由は、トランプの信仰とか宗教的背景ではなく(むしろ乖離している)、保守派/福音派キリスト者の抱く「アメリカとキリスト教の同一性」が危機に瀕しており、その問題に一番アッピールする候補がたまたまトランプであること、そして何よりもトランプ自身が、今まで非政治的でさえあった今回の支持者たちのように「政治の素人」である点がアッピールしているのではないかと指摘する。
、「アメリカとキリスト教の同一性の危機」が焦点の一つになっているらしいのです。

「福音派」の中でも特に保守的な福音派キリスト教の関心となっているのがなにであるか・・・この会合に参加してトランプ候補に質問を投げかけたのがジェームズ・ドブソン氏です。

彼の質問スピーチ(質問の形の演説みたいな、と云う意味で)に、「アメリカとキリスト教の同一性危機」問題の一面が見て取れる気がします。(米ヤフー・ニュースが入手した音声を文章にしたもの
And then, of course, our Founding Fathers wrote that in the Constitution, where the Bill of Rights, those 10 enumerated rights, started with religious liberty. It was put number one for a reason! Because that sets the tone. That is the foundation for all our other freedoms. And yet when Barack Obama became president, I think there was a conscious effort to undermine our religious liberty. You’ve probably seen it from that time to this. Have you noticed that the president and Democrats and Hillary — yes, Hillary — no longer talk about “freedom of religion”? They talk about “freedom of worship.” Why have they changed that? It’s very small, a one-word change. Well, freedom of worship means that you are confined to your churches and your synagogues, but freedom of religion, as identified in the Constitution, is in the public square, it’s everywhere. So they have tried to limit us to our church activity. So we’re seeing more and more of that.
この質問に対するトランプの返答は予想されるようなものとはいえ、「保守派の福音派キリスト教」と「トランプ大統領選の宗教政策」は明確に合致する、という見解を示しています。

(※このヤフー・ニュースはしっかり読み込んで分析する必要がありそうですが、今はその時間がないので次のトピックに移ります。)

トランプと福音派キリスト教、続2でも紹介しましたが、昨年12月時点で、福音派キリスト教の「ややリベラル」な見解を持つ南部バプテスト連盟のラッセル・ムーア氏や、「保守派」のジェームズ・ドブソン氏がトランプ候補を嫌ってテッド・クルーズ候補に絞り込む動向について書きました。

その後クルーズ候補は選挙戦から撤退し、不本意ながらトランプ候補に選択を迫られる状況が発生しました。

その状況での
「トランプ候補」と「福音派キリスト教」の改めて「折り合いを付ける」
機会がこの会合の目的だったように思います。

この(招待者が限定された)会合は、ヤフー・ニュースの記録からはカーソン元候補のアイデアで設けられたようです。

キリスト教側からこの会合をリードしたのは、初期からトランプ候補支持を鮮明にしていたフランクリン・グラハム氏(開会祈祷を担当し、自身も含め誰しもみな罪びとである、とトランプ候補に対する道徳的ネガティブ感のガードを下げている部分も垣間見えたりしています。)とリバティー大学学長のジェリー・フォルウェル・ジュニア氏です。

本会合の前に、主な出席者をトランプタワーに招いて「顔合わせ・交流の時」が持たれたようですが、そこでのジェームズ・ドブソン氏の感想がインタヴューとして収録され、ネット公開されています。

そのインタヴューの中でドブソン氏が「トランプ氏の回心」(ごく最近誰かがトランプ氏を個人伝道(?)し、それにトランプ氏が応じて「イエス・キリストを信じ受け入れた(?)」とのこと)部分を語っていますが、その部分を文字起こしした記事では、ドブソン氏のように「アメリカとキリスト教の同一性」のような見方から「大統領と政治」の問題に取組むことを「一辺倒なもの」として批判しています。


さて、今後またどんな進展があるかもしれませんので、一応この「ドナルド・トランプと福音派キリスト教」連載は未完と言うことにしておきます。

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