2016年10月14日金曜日

(3)翻訳聖書について考える

 主宰する「ライト読書会」 のうちフェイスブック読書会の方が先ごろ(2016年8月)『クリスチャンであるとは』を読了した。

『結び』の部分に聖書について書いてある。
 最初に考慮すべき本質的なことの一つは、現代の聖書翻訳の良いもを手に入れることである。
 しかしともかくも大切なことは、現代の訳を手にして読み始めることである。
それで以下のような《質問》をした。
 皆さんが(持っているだけでなく)よく用いている(読んでいる)現代訳はどれですか?(リストになければ追加してください。)
一番多かったのは『新改訳』、以下『新共同訳』『口語訳』と続く。結局英訳も含めて10をはるかに越える聖書が挙げられた。

 中には「個人訳」とか「文語訳」とか現代訳の範疇に入るのか疑問符の付くものもあったが・・・。


 そんな折、海の向こうで ESV (The English Standard Version) の出版元であるクロスウェイ社が今後改訂を行わない、と発表した。(つまり不朽訳みたいな?)

 後から説明するが、この方針はまもなく撤回され、大見得切って「不朽訳宣言」したページも削除された模様(クリスチャニティー・トゥデー誌関連記事)である。(「不朽」とは筆者が幾分皮肉を込めた修飾表現ですので誤解なきようお願いします。)

 と云うわけで、この方針にいち早く反応し、抗議したスコット・マクナイトのブログ記事から件の「不朽訳宣言」を転載しておく。
Beginning in the summer of 2016, the text of the ESV Bible will remain unchanged in all future editions printed and published by Crossway—in much the same way that the King James Version (KJV) has remained unchanged ever since the final KJV text was established almost 250 years ago (in 1769). This decision was made unanimously by the Crossway Board of Directors and the ESV Translation Oversight Committee. All future Crossway editions of the ESV, therefore, will contain the Permanent Text of the ESV Bible—unchanged throughout the life of the copyright, in perpetuity.
The creation of the ESV Permanent Text represents the culmination of more than seventeen years of comprehensive work by the Translation Oversight Committee, as authorized and initiated by the Crossway Board in 1998. ... The decision now to create the Permanent Text of the ESV was made with equally great care—so that people who love the ESV Bible can have full confidence in the ESV, knowing that it will continue to be published as is, without being changed, for the rest of their lives, and for generations to come.
 朝令暮改ではないが、この宣言後まもなくクロスウェイ社は「不朽訳」宣言は間違いであったとして方針を撤回(クリスチャニティー・トゥデー、2016年9月28日)した。

 
 あーやれやれである。

 聖書についても、翻訳についても、筆者のような素人はうっかり「微妙なこと」に関して発言することはやめたほうがいいわけだが、ちょうど『クリスチャンであるとは』の結びで取り上げられた現代の聖書翻訳の良いもということの関連でちょっとだけ・・・。

 (1)翻訳の底本となる本文研究でさえまだまだ改訂が止まったわけでもないのに、「不朽訳」はおかしいでしょう。
 (2)(ライトも度々指摘するが)「言葉(language)も変わるし、意味も変わる」から世代が変われば新しい聖書翻訳が必要になる、でしょうね。

 翻訳聖書を「不変の聖書」みたいに勘違いするような扱いはやめたほうがいいと思う。

 現代英訳聖書の一つに過ぎないものに、「全幅の信頼」を寄せるようなことは控えた方がよろしいと思う。(それはいわゆる「聖書信仰」とは別の次元のことだろうと愚考する。)

 蛇足・・・スコットマクナイトの記事に「翻訳問題の背景となる北米のジェンダーに関する『文化戦争』事情」があるらしいことが分かります。

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